mmcxイヤホン用のケーブルを自作してみた

2019-09-30

サムネイル

毎日のように音楽を聴いていると、たまには違う音で聴きたくなるもの。イヤホンの音がケーブルの材質で変わるって本当?今回はMMCX対応イヤホンで使える、銀線を贅沢に使った自作ケーブルとその作り方をレポートします!

MMCXって何?

MMCX(Micro Miniature Coaxial)は、同軸RFコネクタ規格の一つです。では、同軸RFコネクタ規格ってなんやねんという人のために、一つ一つ言葉をかみ砕いてご説明します。
まず初めに「同軸ケーブル」というのは、主に高周波信号の伝送用ケーブルとして用いられているケーブルです。
次に「RF(Radio Frequency)」というのは「高周波の電気信号」のことです。
つまり高周波信号の伝送を行う際につかう接続部(コネクタ部)ということですね(文字通りでした)。
筆者もググって軽く情報をまとめただけであるため、ぶっちゃけ自分でもよくわかっていない(オイ)。
ちなみにどういうコネクタなのかというと、こういう端子です(下の写真を参照)。このようなイヤホンはある程度の価格帯にならないと見受けないかもしれないです。お値段は張りますが今回のようにリケーブルが気軽にできる楽しさもあるので、僕はMMCX対応イヤホンを全力でお勧めします。

mmcxコネクタ

ケーブルで音は変わる

オーディオを趣味としていて、一度リケーブルを試したことのある方はご存知の通り、ケーブルの線材やプラグなどによってイヤホン・ヘッドホンの周波数特性は大きく変わります。例えば、銅でできたケーブルは音に軟らかさや艶が感じられ、銀でできたケーブルは音の解像度が上がり低音も締まりのある音になります。また、プラグ(イヤホンジャックに突き刺す部分)には金メッキ・ロジウムメッキ・プラチナメッキなどがあり、それもまた音質に影響してくるようです。

製作するケーブルの仕様

今回はJVC FX850用のケーブルを自作します。強すぎる低音(これがこのイヤホンの魅力でもあるんですが)を軽減し、低音に埋もれ気味の高音域を強めたいので線材には銀を選び、プラグにはロジウムメッキのものを選択しました(※選んだプラグの材質には特に理由はないです。金メッキプラグの在庫がなかっただけ)。また、初めの自作ケーブルなのでバランスケーブルではなくごく一般的なイヤホンのケーブルと同じ規格(3極)にしました。ケーブルの仕様は下記のとおりです。すべてオヤイデ電気さんから仕入れました。

  • 線材:4N純銀撚り線 10/0.12 (FEP被覆) 5m
  • mmcxコネクタ:.MMCX用 メタルシェル・コネクター(ネジ切り付き 赤/黒ペア)
  • プラグ:P-3.5 SR シルバーロジウムメッキ(穴径6.0mm)
  • カラーブーツ:.アンフェノール製 カラーブーツミニ 穴径6mm用
  • 分岐カバー:.自作リケーブル用 分岐カバーキット 黒

合計8000円ちょいでした。この他工具等にもお金がかかり結果として10000円以上飛びましたとさ。面倒なので必要な工具とかの説明は省きます。詳しくは今回参考にさせていただいたeイヤホンのブログをご覧ください。eイヤホン東北にも来ないかなあ(懇願)。最近ヨドバシカメラでも高級イヤホン全部ショーケースに入れられちゃってて、気軽に試聴できないのが地味に辛いです。助けてクレメンス(※元ネタ何だっけ)。

製作工程

では、どのようにケーブルを自作していくのか実際に見ていきましょう。まずは大まかな流れを確認します。

  1. 線材を編み込む
  2. ケーブルの保護をするチューブを通す
  3. コネクタやプラグのネジ部などを半田付けの前にケーブルに通す
  4. テスターで通電チェックしつつ半田付け

「なんだ簡単じゃん。そんなに難しくなさそうじゃん。」って思うでしょ?それが大変なんですねこれがー。僕自身侮って後悔しました笑。

線材を編み込む

今回は4本の銀線を使うので、4つ編みをしていきます。ケーブルを編み込む目的は、ケーブルの強度を上げることだけでなく、ケーブルをよりカッコよく見せることです(笑)。音質にも影響するという話も時折耳にしますが、はっきりとした違いがあるのかは正直未知数です。※電流が発生させる磁場が打ち消しあうので音質が良くなるとかそうでないとか。 四つ編みの手順 4つ編みは初めてでしたが、コツを掴めば割と楽しいので気持ち早く終わりました。ある程度の長さまで編んだら2本ずつ分けて分岐させるのを忘れずに!2つに分岐したら後はネジネジでOKです。

チューブを通す

チューブを通すとケーブルの寿命が長くなるので、是非とも通しておきたいところ。今回使ったのはオーム電気さんの熱収縮チューブです。入れるのめちゃくちゃ大変でした(4時間くらいチューブと格闘してた)が仕上がりは非常に綺麗でした。通し終わったらチャッカマンなりライターなり使って火で炙り収縮させます。ドライヤーは熱量足りなくて無理でした。

収縮チューブ チューブ通し

細い方はまだ良かったんですが、太い方は予想に反して潰れた形してて入れるのが超絶大変でした。もっと楽に通せるチューブあったら是非とも教えてください!

半田付けの前に!部品を通そう

mmcxコネクタやプラグのネジ部分は、必ず半田付けの前に通しましょう。これ忘れると半田付けをやり直す羽目になるので気をつけてください。

半田付けの前に

テスターで通電チェック&半田付け

ケーブルの色が4本バラバラであれば、テスターなしでもいけなくもないと思いますが、今回は透明被服の純銀線。区別する手段がないのでテスターを抵抗測定モードにしてどの線がどれと繋がっているのか確認しながら半田付けしていきます。断線していないか確認するためにもテスターは1個持っておくと便利です。せっかく半田付けしたのに断線してしまってて音が鳴らないなんてことになったら悲惨ですからね。

まずはMMCXコネクタの半田付けから。センサーバーを作ったときに買った、1mmはんだで挑戦するもあえなく失敗(左上)。半田吸い取り線(左下)と0.6mmはんだ(右下)、ツールクリップを購入し再挑戦。なんとか事なきを得ましたが、部品が小さくかなりシビアでした。

半田付け(MMCX)

次にプラグの半田付けです。一番下の画像を見れば絶縁体の部分が熱で溶けてしまっているのがわかると思います。あと少し半田付けに手こずっていたら、、、絶縁体が完全に溶けて失敗していたかもしれません。プラグの半田付けも手際よくやりましょう。大きさはMMCXより大きいけれど、半田がくっつきにくい印象を受けました。机に見える黒い線は髪の毛じゃなくてカッターの傷です(超絶どうでもいい)。

半田付け(プラグ)

半田付けが終わったら、グルーガンで絶縁&補強しましょう。写真を撮るのを忘れたので画像はないですが、このときやりすぎるとネジが締まらなくなるので注意してください(※逆に少なすぎても断線しやすくなります)。

完成!!

完成

グルーガンを入れた後、ネジを締めたら完成です。見た目もなかなか格好よく仕上がりました。ちゃんと音が出ることも確認し、音楽鑑賞すたーてぃん🍎。
ちなみにこの撮影後1時間で断線しました笑。そりゃあ、自分で作ったものなのですぐに直しましたよ。半田付けとグルーガンの処理が甘いのが原因っぽかったです。そしてグルーガンをつけすぎて左の画像のようにネジが最後まで回らなくなってしまいました(泣)。まあ仕方ない。初めてですし。

感想・振り返り

音質について

使った途端にわかるほどの違い!今まで低音モリモリだったFX850が、高音まで綺麗に奏でるように変貌しました!俗に言う「ドンシャリ傾向」の音になり、音楽にノリやすい楽しい音を出すようになりました。銀線の電気伝導性の高さがちゃんと音に反映されていて、全く違うイヤホンで聴いているような新しい音がします。

取り回しについて

素直に言います。取り回しは最悪です笑。自分で作ったものなので許せますけど、これが製品だったらクレームの嵐でしょうねっていうくらい。まず熱収縮チューブが思ったより硬いのでイヤホンケースにもしまいにくいし、ポケットにも突っ込みにくい。あとMMCXコネクタの相性がFX850とあまりよくないらしく、ポロッポロッと抜け落ちることもしばしば(耳かけ必須)。欠点挙げればきりがないですが、見た目のかっこよさと必死に作った思い出補正で全然許せる出来です笑。やっぱり自分で作ると愛着がわきますよね!

総評

今回、二度目の電子工作の題材として以前の記事で予告していたとおり、イヤホンケーブルの自作に挑戦してみました。センサーバーのように一筋縄ではいかない難しい題材ではありましたが、なんとか上手く完成させることができて、製作の過程においてえも言われぬ充実感を覚えました。物作りって楽しい。小学生の頃大好きだった図工の時間を思い出しました。忘れかけていたこの感覚を思い出し、なんだか凄く懐かしい気持ちにもなりました。

さらっと自分語りしていく男。きたっくん。

今度は8芯バランスケーブルに挑戦してみたいな。欲は深まるばかりである。

追記事項

mmcxコネクタの接触不良について(2019/10/24追記)

上記感想・振り返りにおいて、mmcxコネクタの接触が悪くぽろぽろと落ちてしまうと述べましたが、ただ単にしっかりハマっていなかっただけでした。MMCXコネクタにはCリングと呼ばれる固定用リングがついており、このリングがメス(イヤホン側)端子の輪っかの形状をしたくぼみにハマることで固定される仕組みになっているようです。mmcxコネクタは、カチッと音がなるまで差し込みましょう!くれぐれも今回の僕のように変な誤解はしないようにお願いします・・笑。

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