SU-AX01用mmcxバランスケーブルを自作する

2019-12-20

サムネイル

SU-AX01用の銀メッキOFC8芯バランスケーブルを自作しました。3.5mm 2個という特殊な構成ではありますが、他の4極バランスケーブルを作る方にも参考になる内容となっていると思います!

ケーブルの仕様決定

SU-AX01用のmmcxバランスケーブル(CN-HM01MB)を自作するにあたり、まずはこのケーブルの仕様を確認する必要があります。JVC公式のSU-AX01商品ページからケーブルの入力出力の対応を抜粋すると以下のようになりました。

CN-HM01MBの仕様

ただここで一つ問題があり、JVCさんによるとこのケーブルの特徴として以下のことを挙げています。

HOT、COLDだけでなく、GNDも活用した芯線構造によりクリア感アップ

通常この手のバランス接続ケーブルは、L+/L-/R+/R-の4つで構成されており、配線するのはHOT(+)とCOLD(-)のみです。にも関わらず、公式の入力プラグのピンアサイン図にはGNDも記載されており、GNDも活用した芯線構造とまで謳われています。

ネット上を色々あさったものの、ほとんど望んでいた情報は得られませんでした。ただ一つだけ、筆者と同様に「CN-HM01MB」の自作について考えている人が偶然Yahoo知恵袋にいたのでリンクを貼っておきます↓
イヤホンケーブル「CN-HM01MB」の自作についてイヤホンケーブ... - Yahoo!知恵袋

この質問に対するベストアンサーの方の言葉を一部抜粋しますと、

MMCXはアンバランス接続です

どうしても作りたければ、マイナス端子とグランドを一緒にしてます

でもそれはバランス接続ではなくて、グランド線が2本になるだけのアンバランス接続です
出典元:Yahoo!知恵袋

この回答から、つまりはこういう配線になるのではないかと予想しました↓

CN-HM01MBの仕様(予測)

しかしながら、この方が述べるとおりMMCXはアンバランス接続の端子でGNDは存在せず、このような配線をしたイヤホンのバランスケーブルというのは見たことも聞いたこともありません。SU-AX01は左側の端子のみアンバランス接続に対応しているので、そもそも右側端子にGND部の接点が存在するのかどうかも微妙です。下手なことをしてアンプそのものをぶっ壊してしまっては本末転倒なので、GNDは半田付けせずに製作してみたいと思います。

以上の考察を踏まえて、今回製作するバランスケーブルの設計は下の画像ようになります。だいぶ悩みましたが、結果的にこれで上手くいったのでGNDの話は忘れましょう。もしCN-HM01MBの実物を持っている方がおられましたら、テスター等でどういう極性をしているのか教えていただけると嬉しいです。

設計図(決定版)

材料一覧

使用する材料は下記の通り。今回もまたオヤイデ電気さんにお世話になります。いったい僕はオヤイデ電気にいくら貢いでるんでしょうか。結構な額が動いている気がする。。

その他はんだ・ホットボンド等が必要になります。あとマスキングテープがあると作業中ケーブルの固定などに重宝するのでお勧めです。工具については割愛。今回は全体的に結構控えめのグレードにしてあります。また、保護用の熱収縮チューブはケーブルのしなやかさが犠牲になるので使いません。

材料費はざっくり税別で1300+640*2+80*2+800*2+260*11=7200円、税込みで7920円ですね。銅線は純銀線に比べ比較的安価なのでお勧めです。

製作の様子

ここからは実際の製作の様子を紹介します。バランスケーブルを作る都合上、アンバランスと多少作り方が違いますし、SU-AX01専用なので特殊な例になってしまいますが、どんなケーブルを作ろうとしている方にせよ、ある程度参考にはなるんじゃないかなと思います。ざっと作業の順番と内容を箇条書きで記してみました。

  1. ケーブル中央部の編み込み(八つ組み)
  2. イヤホン側分岐後の編み込み(四つ編み)
  3. イヤホン側部品通し
  4. イヤホン側半田付け
  5. アンプ側分岐後の編み込み(四つ編み)
  6. アンプ側部品通し
  7. アンプ側半田付け
  8. ホットボンドで絶縁・スプリッター固定
  9. 完成

1.中央部の編み込み

初めに中央部を八つ組みし、その後イヤホン側・アンプ側をそれぞれ四つ編みする流れでケーブルを編み込んでいきます。まずアンプの方から八つ組みを始めます。四つ編みを2本作ってから分岐部で合流させ八つ組みを始めるというやり方もありますが、個人的にそのやり方は混乱するので初めから八つ組みをしていきます。八つ組みは以下の手順で行います。

八つ組みの手順

八つ組みの手順
  1. 最左端の線を右へ下をくぐらしながら移動させ、右に2本残るように表へ出す
  2. 移動させた線を右側の2本にかぶせる
  3. 最右端の線を左へ下をくぐらしながら移動させ、左に2本残るように表へ出す
  4. 移動させた線を左側の2本にかぶせる(→1へ戻り繰り返す)

単純にこれの繰り返しです。ただ、途中で手を止めてしまうとどこまでやったのかわからなくなるので、やるときはさっと一気にやってしまいましょう。後から編み込みが足りないとなったとき、今どの段階なのか判別するのは至難の業です。

実際の作業の様子

八つ組みは解くのは容易ですが、後からやり直したり編み込みを増やしたりするのはまず無理です。少し多めに編み込んでおけば後で長さ調整など機転が利くので多めなくらいが丁度良いです。

八つ組みの前準備

準備が出来たら少しずつ間違えないように注意しながら編み込んでいきます。間違えたらまた一からやり直しです。マスキングテープを机に貼って仕切りを作ってからやるとやりやすいです(2枚目の画像参照)。

八つ組み マスキングテープで仕切る

2.イヤホン側分岐後の編み込み

八つ組みをひたすら繰り返して残り45~50cmくらいになったら、左右4本ずつ分岐させてそれぞれ四つ編みしていきます。四つ編みは大して難しくないのですぐに慣れると思います。もう山場は超えた!もう少し!

四つ編みの手順

過去記事の画像の再利用となりますが、四つ編みの手順は以下の通りです。八つ組みと違ってサクサクいけるので爽快ですよ!

四つ編みの手順
  1. BをAの上に、DをCの上にそれぞれかぶせます。
  2. AをDの上にかぶせます。
  3. その状態を新しい4本とみなして・・
  4. 同じように1から同じ操作をします。

編み込み終了までざっくり動画にしてみました↓ \てってってー/

筆者の不健康な肌と散らかった床には触れないでください笑。これでも最近では頑張って運動して健康的な肉体を作ろうと日々頑張っているのです。

3.イヤホン側部品通し

なんでこれをいちいちセクションとして分けているかわかりますか。以外と忘れるからです・・。今回忘れて痛い目みました(下の画像参照)。ケーブルスプリッターとmmcxカバーを忘れずに通しておきます。

カバーを入れ忘れた男

もちろんこの後はんだ吸い取り線で吸い取ってやり直しました笑。どんな界隈であれ生き急ぐとロクなことがないです。ゆっくり着実にやりましょう。

4.イヤホン側の半田付け

ではいよいよmmcx側の半田付けです。mmcx端子のHOT(真ん中)には2本ねじって半田付け、COLD(左と右)には1本ずつ半田付けします。オヤイデのmmcxカバーは結構シビアなので半田をつけすぎたり付け方が雑だとカバーが閉まらなくなります。吸い取り線を使いながら根気強くやります。多分ここが一番難しい。

mmcxの半田付け

5.アンプ側分岐後の編み込み

ほとんど2のときと同じです。一つ注意しなければならないのは、ケーブルを振り分けるときテスターを使ってLRどっちのmmcxに接続されているのか振り分けなければならないことです。各線をそれぞれ少しだけ被覆を剥いてテスターをあてて通電確認します。

mmcxは円柱状の側面がCOLD, 中央にある針がHOTに繋がっています。

アンプ側四つ編み

6.アンプ側部品通し

こちらも忘れずに。ケーブルスプリッターとカラーブーツ、そしてプラグカバーを通します。

アンプ側部品通し

7.アンプ側の半田付け

線のつなぎ方は一番初めの設計図見てもらえればわかるはずなので細かくは言いませんが、画像だけでも。ポイントは予備はんだですね。予め半田付けする箇所にはんだを載せておくことでかなりくっつけやすくなります。

これを、
アンプ側半田付け1 こうして
アンプ側半田付け2 左右両方やります。カバーを閉めるとこんな感じ↓
アンプ側半田付け3

8.グルーガンで補強・絶縁

最後にホットボンドを使ってmmcx側、プラグ側の両方をそれぞれ絶縁します。これをやるかやらないかでケーブルの寿命がだいぶ変わります。たぶん。

絶縁

mmcxの方は撮り忘れました。まあなくても問題ないよね。

9.完成!!

僕は完成までいくのに5,6時間かかりました。アンバランスと違ってバランス接続ははんだ付けの箇所が増えるし、編み込みが大変だし、結構時間が食われますね。

何はともあれ、これで完成です。実際に使う前に回路がショートしてないかチェックするのをお忘れなく。

完成

製作後記

今回、銀メッキOFCバランスケーブルを自作して感じたことを以下にまとめてみたいと思います。

【音質】銀と銅の欲張りセット

ここ数週間筆者は純銀の独特な高音や解像感に完全に脳を侵されてしまっていましたが、銀メッキ純銅の音を聴いて目が覚めました。これだ!!と。噂には聞いていましたが、マジで銅線の艶のある低音と銀線のはっきりとした高音の両方を兼ね備えたバランスの良い聞きやすいケーブルに仕上がりました。純銀線よりも安く収まるし聴きやすい音だし最高ですね。銀メッキOFCおすすめします。今後はしばらくこの線材を使って自作したい、というくらいには感動しました。

【仕上がり】編み込みが不十分??

ネットで既製品のケーブルや他の方の自作ケーブルを見たところ、自分のケーブルの見た目となんか違うことに気付きました。明らかに編み込みの密度が低いのです。八つ組みの部分なんてもうスカスカですよ笑。調べればすぐわかります。もうちょっと編み込みきつくやらないとだめですね。今後の課題です。

早速ですが反省を生かしてラインケーブル作りました↓
ラインケーブル 構成はバランスケーブル同様に8芯銀メッキOFCに金メッキプラグを使いました。肝心の音はどうかというと、純銀のラインケーブルよりも音に広がりが出て聴きやすい音になりました。しか言えません。言葉では上手く表現できませんが、個人的に純銀ラインケーブルより少しばかり良くなったと思います。

また、編み込みが不十分と言いましたが、ラインケーブルを作ってみて、イヤホンのケーブルであればここまできつく編み込む必要はないと思いました。きつく編み込むと結構硬くなります。イヤホン用なら多少緩さを残してやった方がいいかも。

余談

イヤホンは耳かけしたい人間なので、完成後別途finalの耳かけ用のゴムを買いました。ヨドバシで900円くらいでした。時間たつとするっと抜けちゃうけど良い感じです。mmcxカバーが小さめなのでHA-FX850でもちゃんと耳かけできます。おすすめです。ヨドバシの回し者ではないですが、ヨドバシカメラのリンク貼っておきます↓

final ファイナル FI-EHACL [イヤーフック Aタイプ Clear 2個]

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