A2DC純銀バランスケーブルを作ってみた

2020-03-07

サムネイル

昨年11月ごろに製作したHA-SW01用バランスケーブルをA2DC用に作り替えました。ATH-E70と純銀の相性が良いと見込んでやりましたが、少し困った結果になってしまいました。

ケーブルを分解

数か月前に作ったHA-SW01のバランス接続用純銀ケーブルを分解して、編み直したのち、A2DC用に作り替えるというのをやります。正直あんまりヘッドホン使ってなくて、HA-SW01は元々低音が弱く少しスカスカになっちゃってたのでATH-E70用に作り直した方がいい感じになるんじゃないかと思ったのが事の発端です。あと新しく線材を買うためのお金がないってのも理由の一つです。

ケーブル分解

寝る間も惜しんで作ったケーブルを分解するのは少し躊躇いを感じますが、やると決めたので分解します。そこまで丁寧に作ってないのでプラグのカバーを外してホットボンドを取り除いて分解するだけ。分岐パーツもちゃんと取って再利用します。※画像はプラグ、分岐パーツを取り除いたところ。

このケーブルを作ったときの記事はコチラ。よろしければ合わせて読んでみてください。

[余談]ヒートガンを買いました!

熱収縮チューブの処理をもっと手軽に安全にやりたい!というのでヒートガンを購入しました。今回は線材買うの我慢して無理くりヒートガンを買ったって感じです(笑)。

購入したヒートガン

分岐パーツについたホットボンドもヒートガンで溶かすことで簡単に取り除くことができます。また、収縮チューブを収縮させる際はヒートガンを立てて口の上でぐるぐるバームクーヘンを焼くときみたいに回しながら熱します。作業がはかどるので迷ってる方はぜひ購入してみてください!

ホットボンドの除去

作り方

作り方については前回の記事同様なので下記リンクを参考にしてください。今回少し違うのはケーブル全体にスミチューブをかぶせていることくらいです。

完成したが、なんだかイマイチ

2日間にわたる作業ののち、A2DC純銀バランスケーブルが完成しました。チューブをかぶせたのでケーブルの見た目は凄く美しい。ただ、使っていくうちに不満な点がいくつか見えてきてしまいました。

完成画像

硬すぎて取り回しが微妙

実は今回、ヒートガンを買った嬉しさのあまり、たくさんヒートガンを活用しようとケーブル全体にチューブをかぶせるという愚行に走りました(笑)。初めて作った純銀ケーブルのときに既に経験済みのはずが、1度あることは2度あるんですね~。やっぱりチューブが硬いです。

あと、今回はオーム電機さんの熱収縮チューブではなく、住友電工さんのスミチューブVを使っています。オーム電機のよりも柔らかい気がしていたので、大丈夫かなと思ったんですが硬かった。イヤホンのケーブル程度なら付けないほうが賢明ですね。しばらく使っていたらチューブが少し劣化したせいなのか、だんだん取り回しはよくなってきましたがなくてもいいかなって感じ。あとで取り外そうと思っています。

ケーブルがめちゃめちゃ重い

調子乗ってチューブをケーブル全体にかぶせたせいでめっちゃ重いです。かなり重量があります。

少し音にくもりがある

純銀といったら高音キラキラ気持ちいいっていうイメージなのですが、今回はそのイメージとはかけ離れたくもった音がしました。僕の勝手な予想ではあるんですが、今回のケースは「はんだ」か「プラグ」に問題があると考えています。今回材料とした元のケーブルでは安いヤニ入りはんだを使っていて、統一した方がいいと思ってあえて音響用はんだは使わず同じヤニ入りはんだではんだ付けしました。また、少し半田付けに手間取って一部のはんだが多少酸化してしまっていたようにも見えました。というので、最大の原因は「はんだ」なのかなあと思っています。「プラグ」のせいっていうのは、安価な金メッキプラグをそのまま流用したのであんまり好みの音にならなかったという予想です。前回で金パラジウムメッキプラグの味を占めてしまったもので()。

総評

最終的にちょっとイマイチになっちゃったのでまた作り直そうかなと思っています。今回の件でイヤホンのケーブルにチューブはいらないという結論が出ました。4芯なら付けてもいいかもですが、8芯となると編み込みで十分強度が出るのでチューブかぶせるだけ無駄かなというのが正直な感想です。はんだを音響用はんだに変えて、プラグを銀パラジウムプラグに変えて、どう変わったかを後々追記したいと思います。

追記:作り直してみた

一度記事を公開してから後で追記しようと思っていたのですが、我慢しきれず作り直してしまったのでこのまま追記分を書きます(書き直すのも面倒だし)。変更点は以下の2つです!

  • チューブは耳掛け部分のみ(取り回し改善)
  • はんだをオヤイデ電気の音響用はんだSS-47に変更(音質改善)

取り回しの改善

ケーブル全体にチューブをかぶせた結果、取り回しがかなり悪くなってしまい、さらにケーブルの重量がものすごく大きくなってしまったので、いったんチューブを外し、新たに耳掛け部にのみチューブをかぶせました。

チューブ除去 チューブは端にニッパーなどで切り込みを入れてびりびり破けばとれます。収縮させたあとなので結構大変でした。

音質の改善

完成したケーブルを母に聞かせてみたところ、「音に濁りがあって全然良さを感じない」という厳しいお言葉をもらったので、はんだを安価な精密プリント基板用はんだからオヤイデ電気さんのSS-47に変更しました。2つのはんだの違いをまとめると以下のようになります。

精密プリント基板用はんだ SE-06006 オヤイデ音響用はんだ SS-47
1gあたりの価格 10.32円(100gで1032円) 60.7円(20gで1214円)
合金組成 Sn 60%, Pb 40% Sn 93.6%(純度99.995%), Ag 4.7%, Cu 1.7%
参考URL https://www.amazon.co.jp/太洋電機産業-goot-SE-06010-リール巻きはんだ-100g/dp/B001PR1L28/ https://oyaide.com/catalog/products/ss-470-6mm.html

特筆すべき点は、SS-47には銀と銅が含まれており、鉛がない(鉛フリー)はんだである点です。これが予想に反して効果絶大で、音が透き通り濁りくもった感じが改善されました!今まではんだでの音質違いは微々たるものと思っていましたが、「ちゃんと音響用はんだを使った方が良い」と考えが変わりました。SS-47お高いですが、価格以上の価値はあると思うので興味のある方はぜひ試してみてください。

作り直した後の評価

取り回しについては言うまでもなくチューブを必要最低限にしたのでとてもよくなりました。また、音質ははんだを変えただけでしたが劇的な向上が見られました。音の特性に違いはあれど、前回製作したオヤイデ精密導体x金パラジウムメッキのケーブルと同等の音質のケーブルには仕上がったと思います。最後に最終的にできあがったケーブルの画像を載せておしまいにします!関係ないけど数日後に控えた国公立大学前期の合格発表がマジで怖いです。

作り直し後のケーブル